一日、ひとしきり遊んだ後、僕たちは重い体と潮風にベタつく身体を引きずり、帰路についた。帰り道では、牧さんは清水さんに遠慮して助手席を譲った。清水さんは戸惑いながらも喜びを隠せない様子で助手席に乗ったが、一日中はしゃぎすぎたのか、直ぐにうとうとと眠ってしまったようだ。
「いやあ、意外に楽しかったね」
夕日が西の海にちょうど沈んでいくころ、僕は牧さんと山下くんに話しかけた。
牧さんは、輝く笑顔で頷いた。
「私、職場の方々とお休みの日に仲良く遊んでいただけるなんて思ってもいなかったです。本当に楽しかったので、また誘っていただけたら嬉しいです」
「もちろん。山下くんも今日は車も出してくれて運転までありがとう」
「いえ、自分もすごく楽しかったです。大分焼けてしまったと思いますけど」
「はは、山下くんはもっと焼けた方がいいよ。今回は企画してくれた清水さんに感謝しないとな」
僕たちはぐっすり寝入る清水さんの横顔を見て、穏やかに微笑みあった。

