ハウルがそう言い、くるみに優しく触れる。くるみは「怒ってないよ」と優しく微笑んだ後、「Obrigada(ありがとう)」と言う。

その日は、幸せな夜だった。

しかしその数日後、くるみの心は悲しみに包まれることになる。仕事場から家へ帰宅途中のくるみに、友達から電話がかかってきた。

「もしもし?」

くるみがいつものように出ると、友達が「くるみ!あんた今日発売された雑誌見た?」と慌てた様子で話す。

「雑誌……?」

「あんたの彼氏が写ってるの!」

「彼はこの間取材を受けたって言っていたわ。その記事のこと?」

「違うわよ!とにかくその雑誌見てみなさいよ!」

近くにあった本屋にくるみは入る。その間も電話は切られることなく、友達とくるみは話していた。

何もくるみは考えずに、雑誌をめくる。そしてその記事を見た刹那、くるみの手からスマホが滑り落ちた。

そこには、ホテルに入っていくハウルと女性の写真が大きく載っていた。