怒っていないと思ってもらいたいと、くるみはハウルの大好物のムケッカを作った。エビやカニ、魚といったシーフードを、トマトや玉ねぎ、パプリカなどと一緒に煮込んだもの。他にも、鉄串に刺した肉を豪快にグリルしたシュラスコなどを作った。

時計の針は時間を刻んでいく。いつもは二人で食事をしている時間になってもハウルは帰ってこない。くるみは心配になり電話をかけるが、ハウルは出なかった。

いつもより一時間遅くハウルは帰ってきた。その手には、小さな白い箱がある。

「Agora mesmo(ただいま)今日は本当にごめん。これ……」

Oi tudo bem?(おかえり)と言い、くるみは箱を受け取る。箱を開けると、中にはプジンジレイチコンデンサードが二つ入っていた。これは、コンデンスミルクがたっぷり入ったブラジルのプリンだ。くるみとハウルは、喧嘩をしてしまった時などに仲直りとしてこのプリンを一緒に食べる。

「Feliz aniversario(誕生日おめでとう)」