「……あ……いや、大丈夫」

ハウルは顔を赤くし、目線をあちこちに泳がせながら言った。とりあえず二人は空港を出て、家へと向かう。くるみはハウルの近所の家に住むことになった。

ハウルとくるみは仕事がない日は遊びに行ったり、まるで子どもの頃に戻ったかのような日々を過ごした。そして、再開してから三年後にハウルに言われた。

「Eu nao posso viver sem voce.(君のことが頭から離れない)Eu te amo(愛してる)」

「へ……!?」

夕食を一緒に食べた時に言われ、くるみは驚いて箸を床に落としてしまった。しかし、ちっとも嫌ではなかった。

「よろしくお願いします」

にこりと微笑み、くるみは言った。ハウルは顔をりんごのように赤くしながら、「やった〜!!」と笑う。

そして、すぐに同棲を始めた。



同棲を始めて三年。朝ご飯を作るのはくるみの仕事。ハウルは朝に弱いのだ。

ブラジルは世界各国から来た移民によって形成された国のため、様々な食文化の影響を受けた多国籍料理が多い。

カフェ・ダ・マニャンと呼ばれる朝食で飲むコーヒーを用意する。濃いコーヒーに砂糖とミルクがたっぷり入っている。

ブラジルはコーヒー豆の生産量は世界一だ。ブラジル人にとってコーヒーは欠かせない。味もバランスが取れている。

ポンフランセースというパンを切る。フランスパンという意味だが、バゲッドほど固くはなくブラジル独特のパンだ。