真面目な顔で前を見続けるハウルを、くるみはじっと見つめた。その横顔が何を思っているのか読み取ることはできない。

「着いた、おいで」

車を止め、ハウルがドアを開ける。くるみはハウルの差し出す手を、恐る恐る取った。

二人は何も言わずに、丘を歩く。しばらくすると、光に包まれた景色が見えてきた。くるみの大好きな夜景だ。

「……きれい……」

くるみは、消えてしまうような小さな声で言った。その刹那、目から涙がこぼれていく。

「……ごめんなさい」

くるみはまたポツリと言った。ハウルの手をギュッと握る。ハウルの言葉を信じられず、家まで飛び出してしまった自分が馬鹿らしく思えた。

「俺の方こそ、不安にさせてごめん」

ハウルがくるみの涙を拭う。ますますくるみの涙は止まらなくなってしまった。

「俺が夢を叶えられたのは、くるみのおかげなんだ」

ハウルはその場にしゃがみ、泣き続けるくるみを見つめる。その目は優しかった。

「どんなに辛くても、くるみとの約束があったから活躍できているんだ。俺が夢を叶えられたら、もう一度くるみに会えるって信じて頑張った。そしたら、本当にくるみに会えたんだ」