マンションまでの帰り道。
行きとは違い、茉穂の荷物と持たせられたお土産で車は手狭だった。

「野菜なんていくらでもあるのに、断れば良かったじゃないですか」
積み込まれた野菜を恨めしそうに見る茉穂。
「そんなこと言うもんじゃない。せっかく持たせてくれたんだろう」
良くないぞと、睨んでしまった。

「どうせ、料理をするのは私なのに」
それでもブツブツと言う。
「茉穂っ」
ヤメなさいと強い口調になった俺に、茉穂は黙った。


お互い言いたいことはあるはずなのに、沈黙のまま車は走り続けた。

3時間ほどたって見慣れた風景が見えてきたごろ、
「・・・ごめんなさい」
窓の外を見ていた茉穂がつぶやいた。

「えっ?」

「黙っていてごめんなさい。飛び出してごめんなさい」
涙声。

「俺の方こそ・・・不安にさせて悪かった」
俺も謝った。

これから何でも話そうと約束し、信号待ちにキスをした。