「どうぞ」と、俺は客間へ通された。
お母さんはニコニコと、お茶やお菓子をテーブルいっぱいに広げてくれる。
あいつは、テーブルの向こうに座ったまま俺の方を見ようともしない。
「ただいま」
30分ほどして玄関から声がした。
「えっ」
あいつの驚いた顔。
廊下を近づく足音が聞こえて、
ガラッ。
ふすまが開き、中年の男性が現れた。
「お、お父さん」
あいつが震えている。
「茉穂の上司の方ですか?」
いかにも真面目そうな、落ち着いた声。
「はい。皆川総合病院の副院長をしております。皆川真之介ともうします」
「まあぁ」
お母さんが驚いている。
お父さんは、ジーッと俺を見ている。
こうなったら、正直に話そう。
もう後戻りはできないんだ。
「実は事情があり茉穂さんと一緒に暮らしておりました。事後報告で申し訳ありません」
テーブルに手をつき、深く頭を下げた。
「茉穂ッ」
お母さんの小さな叫び。
茉穂は小さくなって、うつむいている。
「申し訳ありません」
どうか茉穂を叱らないでくださいと、テーブルに頭を着ける俺。
「それで、今日は?」
お父さんはどこまでも冷静だった。
「茉穂さんを迎えに参りました。できれば結婚を前提に同居を続けたいと思っています」
ひょっとしたら、お父さんに殴られるかもしれないと思っていた。
それでも、茉穂をあきらめることはできない。
お母さんはニコニコと、お茶やお菓子をテーブルいっぱいに広げてくれる。
あいつは、テーブルの向こうに座ったまま俺の方を見ようともしない。
「ただいま」
30分ほどして玄関から声がした。
「えっ」
あいつの驚いた顔。
廊下を近づく足音が聞こえて、
ガラッ。
ふすまが開き、中年の男性が現れた。
「お、お父さん」
あいつが震えている。
「茉穂の上司の方ですか?」
いかにも真面目そうな、落ち着いた声。
「はい。皆川総合病院の副院長をしております。皆川真之介ともうします」
「まあぁ」
お母さんが驚いている。
お父さんは、ジーッと俺を見ている。
こうなったら、正直に話そう。
もう後戻りはできないんだ。
「実は事情があり茉穂さんと一緒に暮らしておりました。事後報告で申し訳ありません」
テーブルに手をつき、深く頭を下げた。
「茉穂ッ」
お母さんの小さな叫び。
茉穂は小さくなって、うつむいている。
「申し訳ありません」
どうか茉穂を叱らないでくださいと、テーブルに頭を着ける俺。
「それで、今日は?」
お父さんはどこまでも冷静だった。
「茉穂さんを迎えに参りました。できれば結婚を前提に同居を続けたいと思っています」
ひょっとしたら、お父さんに殴られるかもしれないと思っていた。
それでも、茉穂をあきらめることはできない。