御坂くん、溺愛しないで。




すごい、成長したぞ私。

これで大丈夫だと安堵したその時、タイミングよく電車がやってきた。


そして───


電車の中の様子が見え、私は絶望することになる。



行きほどの満員電車ではないが、中には人がたくさんいて。

小さな揺れがあればすぐに隣の人と触れ合ってしまうことだろう。


途端に不安が私を襲い、無意識のうちに首を小さく横に振っていた。


「木原先輩」
「む、む、無理じゃ…ない、です」


ここで諦めたら今日一日、どれほど御坂くんに迷惑をかけることになるのだ。

流石に今回は踏ん張らないといけない。


大丈夫、一度気絶したんだ。
もう気絶なんてしないはず。

足が震える中、恐る恐る一歩前に出ようとしたら───



「先輩。少しの間だけ我慢してもらえますか?」
「え…」

「目を瞑って、俺の鞄から手を離さないでください」
「は、はい…!」


御坂くんに何か考えがあるのだろうと思い、彼の言った通り目を閉じた。