「違うの、私が勝手に逃げて…」
「そうですね、せめて勝手に逃げるのだけはやめてほしいです。本気で焦ったんで」
また半泣きになっていると、御坂くんは苦笑した。
きっとここまで来るのに走ってきてくれたのだろう、額には汗が滲んでいる。
思わず鞄からハンカチを取り出し、御坂くんの前に差し出した。
「あ、あの…これ、使ってください」
少し手が震えるけれど、これぐらい耐えなければ。
せめて御坂くんに何かしたい。
「……ありがとうございます」
すると御坂くんは優しく微笑み、刺激しないようそっとハンカチを受け取ってくれた。
「じゃあ先輩、帰りましょう。
早く電車に乗らないと人は増えるばかりです」
「は、はい…!」
今日はもう御坂くんに逆らえないと思い、素直に返事する。



