御坂くん、溺愛しないで。




けれどここで諦めてはならない。

もしこれ以上近づけられなかったとしたら、電車で私はどうすればいいのだ。


勇気を出すんだと何度も自分に言い聞かせ、一歩前に足を踏み出したその時───


焦りが先行したためか、何もないところで躓いてしまう私。


「きゃっ…」

転びそうになったため、慌てて手を伸ばして御坂くんの腕を掴む。


すぐに異変に気付いてくれた御坂くんも私の体を支えるようにして、腰に手をまわしてくれた。

その結果転ばずには済んだけれど、御坂くんと密着してしまう。


「あ、あ……」

転びかけた体勢のために足に力が入らず、すぐに御坂くんから離れることができなかった。


「木原先輩、落ち着いてください。
すぐ離れますから大丈夫です」


どうしよう、男の人の腕を掴んでしまった。
それだけではない。

いくら私を支えてくれているとはいえ、腰には手がまわされている。