御坂くん、溺愛しないで。




忘れていた。
今この場に琴葉はいない。

つまり今日の帰りはひとりということになる。


いつもの時間帯ならまだしも今日は違う。

慌ててスカートのポケットに入れっぱなしだったスマホを取り出し、時間を確認するともう午後七時を指していて。


これはいわゆる帰宅ラッシュに被ってしまう。

それだけでない。
夜の暗い道も苦手である私。


終わったのも同然だ。

こうなれば残す道はあとひとつしかない。
都合のいい女になってしまうけれど、それでも───



「御坂くん、あの…私と一緒に帰ってください!」


目の前の彼に頼むしかなかった。


ひとりで帰るだなんて絶対に無理である。

もし周りに男の人がいたとしたら、先ほどみたいに気絶するかもしれない。