御坂くん、溺愛しないで。




そうとなれば私の選択はただひとつ。
後輩が来るまでにこの場から去ればいいのだ。

スマホをスカートのポケットに入れ、鞄を手に持つ。


後輩には申し訳ないけれど。

いざ会うとなれば緊張と不安と恐怖で逃げ出したくなるのも仕方がない。


そして教室のドアを目指し、足を一歩前に出した瞬間───


ガラッとドアが大きな音を立てて開いてしまった。



思わず全身が石のように固まり、動かそうとしていた足すらも止まってしまう。



「失礼します」

耳に届いたのは低い男の人の声。
途端に嫌な予感がして。


やっとの思いで視界をドアに向ける。



するとそこには───


「……っ」

やっぱりひとりの男の人が立っていた。
それも、朝に見たかっこいい人。


女の子たちに騒がれていた相手。