「咲、あのさ。先生に呼び出し食らったから、ちょっと待ってて。すぐ戻る」
思わずため息を吐きそうになったけれど、その前に琴葉が私の席までやってきた。
どうやら少し席を外すらしい。
「え、でももし後輩が来たら…?」
「大丈夫!目立たないよう、少し時間をおいて来てくれるよう頼んでるから!」
その言葉を聞いてホッと胸を撫で下ろす。
あえて目立たぬよう指示してくれた琴葉には少しだけ感謝である。
「わかった。
じゃあ早く帰って来てね」
「任せといて!」
琴葉は笑顔でそう言い、教室を後にした。
すぐ戻って来てくれる。
そう信じていたけれど───
十分、十五分と琴葉は戻ってこない。



