「ついに咲に彼氏が、彼氏が…」
「お父さん!彼氏じゃないよ!」

「それは嘘でしょ咲、琴葉ちゃんが言ってたわよ?
御坂くんと付き合ってるものだって」

「は、えっ!?」


琴葉は一体お母さんに何を言ったのだ。

ニヤニヤ笑っているお母さんはとても嬉しそうで、絶対に誤解している様子。


「ついに咲も彼氏ができたのね、嬉しいわ…まさか歳下とは驚きだけど」

「なっ、歳下!?どうやって出会ったんだ!
チャラいやつじゃないだろうな」


ダメだ、話を止めることができない。
そのためふたりは勝手に話を進めてしまう。

お母さんは琴葉から話を聞いてるらしく、誠実で素敵な男だと言い、お父さんは絶対に軽い男だと言い張っていた。


このままでは電車の時間に遅れてしまう、そう思った私はふたりの横を通って玄関へと向かう。