ふたりの話を聞いた後、すぐに何かできるはずもなく。

それから一週間以上、バスケの話にすら触れないでいた私。


その上御坂くんとは登校時に一緒に行くだけで、それ以外は関わる機会がないため。

どんどん時間だけが過ぎていくのだ。


「うー…」
「また咲が悩んでる」

「だって御坂くんと登校してる時しか話す機会ないから…」


今日の朝も御坂くんと学校に来たけれど、満員電車と闘いながらの登校のため、深い話なんてできるはずがなかった。


「あのね、咲は理玖のそばにいるだけでも十分理玖のためになってるの。咲と一緒にいるだけで心が落ち着くはずだからね」

「そ、そんな効果は私にありません…」

安らぎの効果など、私は持ち合わせていない。