「とにかく!咲は理玖のそばにいる!
それで理玖の本音が聞けたらいいな」

「う、うん…」


それは私も思う。

今までずっと御坂くんはひとりで抱えていたのなら、それを吐き出せるような環境を作ってあげたい。


それが私にできるのかと聞かれたら、頷けないけれど。



「じゃあ暗い話はこれで終わりだな!理玖はバスケ大好き野郎だから、一回前向きになったら大丈夫だろうし」


先ほどまで流れていた暗い空気が嘘のように、筧くんが明るい笑顔を浮かべた。


「それより木原ちゃん、もう俺のこと怖くねぇ?」
「えっ…」

「だってさっき、俺のことじっと見つめてくれただろ?今は!?」

「……ひっ」


すっかり気を許していたけれど、突然筧くんが身を乗り出して迫ってくるものだから、怖くなってビクッとしてしまう私。


「あーあ、秀太のバカ」
「なんでだよ!さっきまで木原ちゃん、俺のこと平気で…」

「急に馴れ馴れしくしすぎ。ゆっくりじゃないと怖いでしょ?」


琴葉の言う通りで私は体を震わせながら、琴葉にピタッとくっついていた。