御坂くん、溺愛しないで。




「な、なんでもないです…」


何やら焦っている様子の御坂くん。

そんな彼の反応を見ていると、余計に気になってしまう。



「御坂くん、どうして琴葉の名前が出てくるの?」
「たまたまですかね」

「でも琴葉が美味しい言ってたんでしょ?
私、御坂くんの前でお菓子渡したことないよ」


休日に作って家に届けに行くのがあっても、琴葉に学校で渡したことはない。


「……あるじゃないですか」
「え…」

「中学の時。
よく琴葉さんに渡してました」


どきりとした。

まさか中学の頃の話を持ってこられるとは思っておらず、驚いてしまったのだ。


「中学の、時…」

確かに家庭科部の活動がある時、お菓子を作ることが多かった。

そして作ったお菓子を誰かに食べてもらいたかった私は、よく部活終わりに琴葉にあげていたのも事実で。