「じゃあ、あの…御坂くんのために作ってきたんで、受け取ってもらえますか?」
少し緊張しながらも、恐る恐る御坂くんに紙袋を差し出す。
「すごく嬉しいです、ありがとうございます」
「あっ、でも紙袋がグシャッてなって…」
「ダメです。
もう俺がもらったんで、返品不可ですからね」
思わず手を伸ばそうとしたら、御坂くんにサッと紙袋を後ろに隠されてしまう。
「でも美味しいかわからない、よ?」
「琴葉さんが美味しいって言ってたんで、絶対美味しいに決まってます」
「え、琴葉…?」
「あっ」
いきなり琴葉の名前が出てきて不思議に思っていると、御坂くんはハッとしたような表情をした。



