「ご、ごめんね…遅れちゃって」
少し息が切れ、髪がボサボサになっている今の私は悲惨な状態だ。
そんな自分を見られるのが恥ずかしくなり、慌てて手で前髪を整える。
「どうして走ってきたんですか。
転んだりしたら怪我します」
「そんな子供みたいなことはしないよ…」
さすがに転んで怪我をするのは恥ずかしすぎる。
そこまで失敗はしない。
「でも嬉しいです」
「え…」
「先輩が俺のために走ってきてくれたんだって思うと」
冗談なのはわかっているけれど、あまりにも嬉しそうに笑うものだからさすがの私もドキッと胸が高鳴ってしまった。
何、そのかわいい表情。
ギャップがあり心臓に良くない。



