それでこのお菓子を琴葉に渡せばいいのだ。
きっと受け取ってくれるはず。
そう思い鞄に入れようとしたけれど、パウンドケーキの形が崩れてしまうかもしれない。
そのため私は手に持ったまま足早に駅へと向かう。
昨日はすでに御坂くんが来ていたのだ。
今日も早く来ている可能性だってある。
というか絶対に早く来ているはずだ。
今もすでに駅で待っているかもしれない。
そう思うといてもたってもいられず、ついには走り出してしまった。
「み、御坂くん…!」
駅が見えると、やっぱり御坂くんの姿があり。
思わず大きな声で彼の名前を呼んでしまった。
そんな私に気づくなり、御坂くんは驚いたように目を見開いた。



