もっと琴葉には御坂くんの気持ちを考えてほしい。
どれだけ御坂くんに迷惑をかければいいのだろうか。


琴葉は私のためにこのようなことをしてくれたのだろうけれど。

逆にひとりだと渡しにくい部分もある。


琴葉がいればそこまで気を張らずに渡せるけれど、一対一で御坂くんに渡し、変に気があると思われてしまったらどうするんだ。

それで“好かれるのは迷惑だ”と誤解されてしまったら終わりである。


『やっぱり今日は別々で行きましょう』と言われ、私は学校を休む羽目になるのが容易に想像できた。


そうなれば選択はただひとつ。
このお菓子を渡さなければいいのだ。

そしたら少なくとも気があるとは思われないだろう。


せっかく作ったけれど、自分のためだ。
ここは諦めて渡さないでおこうと思った。