「え?なんでわかるの?」
さすがの天音も、自分の考えている事を言い当てられ、驚いて目を丸くするしかない。
彼女は、人の心が読めるような力でも持っているのだろうか…?
そんな考えが自然と天音の頭には浮かんでいた。
「あなたは知らないのね。月斗は有名な悪人よ。」
「え…。」
『そいつは悪者なんだよ。』
天音の頭には、あの男の子の声が響いた。
反乱者と呼ばれていた月斗だったが、自分の目で悪い事をする現場を見たわけではない天音には、その言葉が信じられなかった。
月斗は、口ではなんやかんや言っていたが、ちゃんと自分を町に送り届けてくれた。
「窃盗や、国の公共物破壊などは数えきれないほど。その時、人をケガさせた事だって、何度もあるそうよ。」
しかし、そんな天音の考えを、真っ向から否定するように、女は冷たく言い放った。
天音は、返す言葉が見つからない。
月斗と会ったのは今日が初めてで、彼の事など何一つ知らない。
それでも…。
「それでも、彼は悪くない?」
「でも、なんだか寂しそうだった…。」
「さびしそう?」
予想もしなかった天音の一言に、女は眉をひそめ、しかめっ面へと変わる。
あんな悪党面の彼が寂しそうに見えるなんて、理解できないと言わんばかりに。
「もう一度会って、彼と話しがしたい…。」
彼を放っておけない…。
なぜだかそんな気持ちが、天音には自然と生まれていた。
なぜ、彼があんなに町の人に疎まれているのか。なぜそんな寂しそうに、花火を作っているのか…。
彼について、天音には腑に落ちない事が多すぎた。
「…彼は逃げたわよ。この城の牢屋から脱走をした。」
彼女は押し黙った後、静かに口を開き、その事を簡単に口に出した。
「逃げた?」
「ええ。天師教のミスでね。」
「天使教さんの??」
どうやら、何でもお見通しの彼女は、この城の事もなんでも知っているらしい。
しかし、そんな機密情報を、なぜ易々と天音に漏らしてしまったのか…。

