「ここかー!!」

天音は彼に言われたとおりの方向へと歩き、やっとの事で自分の部屋の前へと辿り着いた。
その部屋のプレートには701と書いてあった。それが天音の部屋の部屋番号だった。
そして、天音はガチャリと、勢いよくその部屋の扉を開けた。

「キャー!!」
「へ?」

扉を開けたその瞬間、甲高い女の悲鳴が中から聞こえ、天音は目を丸くし、扉の前にポカンと立ちつくした。
一体何が起こったというのだろうか??

「ちかん!!ってアレ?女?」

部屋の中から、黒髪ストレートのロングヘアーの可愛らしい顔の女性が、服に袖を通しながら天音を見つめた。
目はくりくりと大きく、ほっそりとしたその体つきは抱きしめたら、壊れてしまいそうなほど。愛らしいその容姿からして、その甲高い声の正体は、どうやら彼女のようだ。
その様子から見て、彼女は着替え中だったようだ。
そこで天音は、ようやく理解してきた。

「あ、ごめんなさい。着替え中だった…?」
「あ、もしかしてー、この部屋の子?なんだ、ごめんごめん。」

彼女は表情をころっと変えて、明るくて人懐っこい笑顔を天音に向けた。
バッチリとお化粧がしてあり、まつげは上を向き、頬はピンク色に彩られている。そんな愛らしい彼女が笑うと、とっても華やかだ。

「あ、はい。」

天音は、そんな可愛らしい女性を見たのは初めてだったので、少し恥ずかしそうに答えた。
やっぱり都会の女の子は違うなー。
それが彼女の第一印象だった。

「よかったー。」
「へ?」

そして着替えを終えた彼女は、突然天音に抱きついてきた。
天音は、その突然の彼女の行動に、また固まった。

…何これ?挨拶?城下町では、都会ではこれが普通なの?
天音は彼女の謎の行動に、なすがままだ。