何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】



「天音の元に行かなくていいのか?かずさ。」

低い声の男が、そこにいるかずさに問いかけた。

「あなたが行けというならば。」

かずさは彼の方ではなく、カーテンをそっと明けて窓の外の満月を見上げた。

「かずさ、お前の意思で動いていいんだ。」


―――― そんな言葉を聞きたいわけじゃない。


「…わかってるでしょ。私がいなくても彼女は真実を知るのよ。」
「…。」

かずさのその言葉に、彼は固く口を閉ざすしかなかった。