何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】


「よかったー。」

馬車に揺られている天音は、ホッと胸をなでおろしていた。
中月町なら知っている人がいたので、そこまでの行き方を書いてもらい、さらには馬車に乗せてくれる人も見つけた。

「今日は満月なんだ。」

天音は、窓の外に浮かぶ満月を見て、満足気にそうつぶやいた。

真っ暗闇の荒野の中で、満月の光だけが優しく天音に降り注いでいた。