何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】


「お待たせ―!」

天音が華子と星羅の待つ、城の門へと到着した。

「じゃあ、私は行くわね。」

星羅は別れを惜しむことなく、いつも通り素っ気なく、さっさと歩き出した。
まあ、天音の事を待っていてくれただけで、良しとするしかない。

「星羅!もーこんな時でもクールなんだから。」
「星羅らしいね。」

クスクス笑いながら、天音は星羅の背中を見送った。
彼女の言った言葉は、確かに今も天音の心に刻まれていた。

『本当に帰って来る自身あるの?』

そして、天音は星羅を見送った後、城を振り返った。

(月斗、青、行ってくるね。)
そう心の中でつぶやいた。

「天音。」

その時、隣にいる華子が天音を呼んだ。

「ん?」
「戻って来なかったら、承知しないから!」
「華子…。」

それは、華子らしい別れの言葉だ。

「じゃーね。」

大きく手を振って、誰よりも大きなバックを肩に担いだ華子も、歩を進めて行った。