何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】

「そろそろ帰らなくちゃ。」

そう言って、天音は立ち上がった。

「天音!」

りんはどこかいつもとは違う、儚げな彼女を呼び止めた。
(今聞かな、いつ聞くんや!)
そんな思いがりんを動かした。

「ん?」
「…村からどうやってこの町に来た?」
「えっと、馬車を乗り継いで。」
「帰り道わかっとんのか?」
「へ?」

りんが天音に一番聞きたかった事は、その事…。

「あ、そっか!そうだね!調べてみるね!ありがとう。りん」

天音はあっけらかんと答え、いつものキラキラとした笑顔をりんに向けた。

「ええねん。」
「じゃあ、またね!」

そう言って、天音は急いで帰って行った。
なぜなら、今この場所を照らしている夕日が沈む前に、彼女は城に戻らなければいけないのだから…。