何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】

「私、ちゃんとじいちゃんに会ってくるから…。」

天音は、彼女の墓の前でしゃがみこみ、そっと語りかけた。

「じいちゃんか…。」

りんが天音の後ろで、ポツリとつぶやいた。

「私は、村の前の入り口に捨てられてたの。そんな私を拾って育ててくれたのが、じいちゃんだった。」

天音は、その生立ちをここで口にした。
それは、りんに聞かせるため…?
いや、それとも…。

「え…。」

(捨てられていた……?)
りんは、突然天音の口から語られた過去に、思わず眉をひそめた。

『天音は覚えているんだ。』
『…それは…。天音は、ジャンヌの最後を見ていたっちゅう事か?』

(何かが違う…。)
りんはそう感じずには、いられなかった。
どこかで感じる違和感が、りんに不快感を植え付けていく。
それはまるで、絵柄が違うのに無理やりはめこまれた、パズルのピースのよう。

「…でも、私がここに来たのは、偶然じゃなかった。」

天音は、ゆっくりと顔を上げて、遠くに浮かび上がったその夕日を見つめた。

「…なんでそう思うんや?」

りんは、天音のその真っ直ぐな瞳を見て、率直に聞いてみたくなった。

「…なんでだろう。」
「もし、必然だったとしたら?」

その言葉は、自然とりんの口からこぼれた。もう止めることはできない。

「理由が知りたい。」
「…。」

りんは確信しはじめていた。

「なぜ、私がここに来たのか…。」

彼女はやはり、何か大きな運命を背負っているのだと…。