「言わずに天音と会っているのでしょう?あなたが天師教だという事を…。」



ザ―

雨の音がうるさい程耳に響く。

その時、京司は足を止めた。
そんな京司の前に、バチバチと音をたてる、電発塔が目に入ってきた。ニ人は、いつの間にか電発塔に到着していた。
電気を供給するであろう電線は切れていて、火花を上げていた。
バチバチと音を上げるその線を、京司は虚ろな目で見つめていた。

「やはり…。これは、修理が必要だな。」

辰は電発塔に目を移して、ボソッとつぶやいた。


「俺は…。」


そして、今度は京司は小さな声でつぶやいた。

知ってる…。

『悪魔の子…』

背負うもの…。

『お前は今日から玄武の宮。京司という名は忘れろ。』

「天師教…?」

辰は、どこか焦点の合わない目で一点を見つめる京司の異変に気が付き、彼に声をかけた。

『お前なんかが、天使教になれるわけないだろう!!』

「俺は天師教なんか!」

ピカー

その時、激しい雷の光が、空をまたたく間に駆け巡った。


「あぶなーい!!」

ドーン!!


辰の声と雷の音は見事に重なった。


そして、真っ暗な闇の中に一筋の光が、空から落とされていった。