ザー
二人が去った後も、冷たい雨がこの町を濡らし続ける中、月斗は座り込んだまま、未だ動こうとしない。
「まったく。何やってんねん!」
りんは、そんな月斗を上から見下ろし、彼と自分を覆うように、もう一度傘をさした。
「…。」
月斗は微動だにせず、言葉も発しない。
「ハァ、ハァ、ハァ…。」
そんなニ人の耳には、遠くから、息を切らすまた別の声が聞こえてきた。
「天音…?」
彼女の姿をいち早く捉えたりんが、彼女の名を呼び、眉をひそめた。
(なんだって、今日に限って次から次へと…。)
月斗の起こした行動に、未だ腹を立てているりんは、珍しく苛立ち、いつもの笑顔は封印されたままだ。
「ハァハァ、あれ、りん?月斗…?何してるの?」
「天音こそ。こんな大雨の中何してんねん?」
天音もまた傘をさしているが、月斗やりんほどではないが、服はびしょ濡れだ。
りんは、何故こんなタイミングで天音が現れたのか、不可思議に思い、彼女を引き止めた。
「ごめん、りん。私急いでて!あ、天使教さん見なかった?」
「…え…?」
「私。天師教さんに会いに行くの!天使教さんが外に行ったって聞いて!」
りんは、思わず言葉を失った。
天音は天使教を京司を追って来た?
「な、何いうとんねん。天使教に会ってどうすんねん。」
「私、天師教さんにお願いしなきゃいけない事が…。」
「お願い?」
「私、村に戻りたいの。じいちゃんに会いに行きたいの。」
「村に…?」
その言葉に、りんは息をのむ。
――――これは、神様のいたずら?

