「…。」
天師教に会うことが叶わなかった天音は、暗がりの中、一人でとぼとぼと部屋に帰ろうとしていた。
電灯なんてない村で育った天音は、暗闇をものともせず、長い廊下をたった一人で歩いていた。
今は暗闇の恐怖よりも、落胆の気持ちが彼女の心を支配していた。
"もう、村には戻って来るな。"
「ダメだ!やっぱり!」
しかしその時、天音の頭には、じいちゃんからの手紙のあの言葉がくっきりと浮かび上がった。
どうしても諦めきれない天音は、来た道をかけ足で戻り始めた。
やっぱり何もせず帰るなんて、できない!そんな気持ちが、彼女の足を自然と動かしている。
「はぁ、はぁ、誰かいませんか!!」
そして、先程天使教を待っていた階段の見える場所に戻ってきた天音は、大声で叫んだ。
なりふりなんて構ってられない。
今自分のやるべき事をやらねば!
「誰です?」
すると、少し上品な大人の女性の声が、天音の耳に飛び込んできた。それは明らかに、階段の上の方から聞こえてくる。
階段の上にいるであろうその人の姿は、天音の方からは確認できないが、そう確信した天音は、また階段に向かって叫んだ。
「あの、天師教さんはいますか!」
そこにいるのが誰かもわからないが、そんな事も考える余地もない天音は、自分の目的のため、彼の居場所を尋ねた。
「え?」
「あの!怪しい者じゃないんです!妃候補です。」
すると、その女性は明らかに怪訝な声を出した。
すると天音は、その声の主を安心させ、何とか話を聞いてもらいたくて、自分の素性を簡単に明かしてしまった。
「妃候補…?」
「あの、私天師教さんに、お願いしたい事があって。」
妃候補が何故こんな所まで勝手に来ているのか?
しかも天師教に会いに来るなんてもってのほか。
そんな常識外れな事を言う妃候補に、その女性は、未だ困惑した声のままだ。
「天師教はいません。出掛けました。」
「え?外に?」
「ええ。」
彼女は、訳の分からないこの妃候補をとりあえずここから遠ざけようと、適当に冷たくあしらった。
天使教に会おうなんて考える者など、すぐに追い払うのが得策だと。
「わかりました!ありがとうございます!!」
そう言って、天音は慌ただしく、階段に背を向けて走り出した。
ここから離れて行く天音の足音を確認した彼女は、尚も眉にシワを寄せていた。
「なんなのあの子は?妃候補なのにこんな所まで来るなんて。」
非常識すぎる…。
そこにまだ唖然と佇む彼女の歪んだ顔を、彼女の持つロウソクが照らしている。
「覚えておいた方がいいですよ。母上なら。」
「え?」
その女性は、声が聞こえてきた後ろを振り返った。
そう、その女性は紛れもなく、皇后である天使教の母親。
そんな彼女の背後にいたのは、深くフードを被った妖しげな女だった。
「もしかしたら、妃になるかもしれない子ですよ。」
その女が低い声でつぶやいた。
「お前は…。」
皇后は、いかにも妖しげな女の姿を見て、うろたえる事なく、また眉間のシワを増やした。
天師教に会うことが叶わなかった天音は、暗がりの中、一人でとぼとぼと部屋に帰ろうとしていた。
電灯なんてない村で育った天音は、暗闇をものともせず、長い廊下をたった一人で歩いていた。
今は暗闇の恐怖よりも、落胆の気持ちが彼女の心を支配していた。
"もう、村には戻って来るな。"
「ダメだ!やっぱり!」
しかしその時、天音の頭には、じいちゃんからの手紙のあの言葉がくっきりと浮かび上がった。
どうしても諦めきれない天音は、来た道をかけ足で戻り始めた。
やっぱり何もせず帰るなんて、できない!そんな気持ちが、彼女の足を自然と動かしている。
「はぁ、はぁ、誰かいませんか!!」
そして、先程天使教を待っていた階段の見える場所に戻ってきた天音は、大声で叫んだ。
なりふりなんて構ってられない。
今自分のやるべき事をやらねば!
「誰です?」
すると、少し上品な大人の女性の声が、天音の耳に飛び込んできた。それは明らかに、階段の上の方から聞こえてくる。
階段の上にいるであろうその人の姿は、天音の方からは確認できないが、そう確信した天音は、また階段に向かって叫んだ。
「あの、天師教さんはいますか!」
そこにいるのが誰かもわからないが、そんな事も考える余地もない天音は、自分の目的のため、彼の居場所を尋ねた。
「え?」
「あの!怪しい者じゃないんです!妃候補です。」
すると、その女性は明らかに怪訝な声を出した。
すると天音は、その声の主を安心させ、何とか話を聞いてもらいたくて、自分の素性を簡単に明かしてしまった。
「妃候補…?」
「あの、私天師教さんに、お願いしたい事があって。」
妃候補が何故こんな所まで勝手に来ているのか?
しかも天師教に会いに来るなんてもってのほか。
そんな常識外れな事を言う妃候補に、その女性は、未だ困惑した声のままだ。
「天師教はいません。出掛けました。」
「え?外に?」
「ええ。」
彼女は、訳の分からないこの妃候補をとりあえずここから遠ざけようと、適当に冷たくあしらった。
天使教に会おうなんて考える者など、すぐに追い払うのが得策だと。
「わかりました!ありがとうございます!!」
そう言って、天音は慌ただしく、階段に背を向けて走り出した。
ここから離れて行く天音の足音を確認した彼女は、尚も眉にシワを寄せていた。
「なんなのあの子は?妃候補なのにこんな所まで来るなんて。」
非常識すぎる…。
そこにまだ唖然と佇む彼女の歪んだ顔を、彼女の持つロウソクが照らしている。
「覚えておいた方がいいですよ。母上なら。」
「え?」
その女性は、声が聞こえてきた後ろを振り返った。
そう、その女性は紛れもなく、皇后である天使教の母親。
そんな彼女の背後にいたのは、深くフードを被った妖しげな女だった。
「もしかしたら、妃になるかもしれない子ですよ。」
その女が低い声でつぶやいた。
「お前は…。」
皇后は、いかにも妖しげな女の姿を見て、うろたえる事なく、また眉間のシワを増やした。

