何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】

「へ?知らないよ。だって会った事ないもん。」

(な…に……?)

天音の何気ないその一言に、辰の背筋には冷たい汗がつたった。

「会ってはダメだ。」

辰はすぐ様厳しい口調で、その一言を絞り出した。

「え…?」

(天音は知らない…。彼が天使教だという事を…。)

その結論を辰が導き出すのに、時間は必要無かった。
そうでなければ、全ての説明がつかない。

「天師教には会ってはダメだ。」

(なぜ、こうなった?どこで間違った?)
辰は、頭の中で自問自答を繰り返す事しか出来ない。

「どうして?」
「どうしてだと?……相手は天師教だぞ…。」

辰は困惑した自分の気持ちを、何とか天音には見せないようにと振る舞うが、そんな気持ちとはうらはらに、彼女を納得させる言葉が、まるで浮かばない。

「天師教さんが偉い人だからダメなの?天師教さんは神様じゃないよ。」

ピカーゴロゴロ
その時、雷が遠くで光りを放ち、窓の外が一瞬明るくなった。