(じいちゃん、元気かな…。)

今は歴史の授業中にも関わらず、天音はじいちゃんの事が気になっていた。

「この地球が滅んだ理由は、明確ではないが、様々な推測がされている。自然現象、人間による自然破壊、はたまた戦争…。」

士導長は、前回の続きである話を始めた。

「戦争…」
「恐ろしい…。」

"戦争"その言葉を聞いたとたん、天音の周りはざわつき始めた。
妃候補達は、争いとは無縁のこの時代で生まれ育っている。その言葉は、ただただ恐怖でしかない。

「しかし、私達は今また、この地球に存在する。それは、神が我々にもう一度チャンスを与えたのかもしれぬな…。」

士導長はそんな彼女らの様子に、左右される事なく、穏やかに話を続ける。

「神…。」
『神様…』

天音はその言葉を聞き、試験の時に聞こえてきた、言葉を思い出した。
…あれはいったい何だったんだろう…?
天音の心のどこかには、まだあの時の事が、魚の小骨のように引っかかったまま。