「ソラのウィンクがかっこいいんだよね〜」


シャープペンシルを上下に振りながら


リサにソラのかっこよさを伝える。


リサ「分かる! あと、あの八重歯ね!

まあ、私はヒナタだけど〜」


「安定のヒナタっすか。」


リサ「そうっす!」


リサは軽くガッツポーズをして


シャープペンの芯を入れる。


その姿を見ながらふと見えたリサの進路希望に‥


「‥え、リサ」


言葉が出なかった。


リサ「ん?」


本人はそれに全く気づいていない様子。


これは流石に‥。


「いや‥あんた、これ。」


私は少し引き気味に調査希望に指をさす。



リサの進路希望調査には


可愛らしい丸っこい字で


《日本一のフリーター“☆”》と書いてあった。


しかも☆って‥。


流石に私でもこんな不真面目な回答は出来ない。


リサ「あぁ。いや、だってさ。

進路希望とか言われても、やりたい事とか

行きたい大学とかあるわけじゃないしさ?」


椅子に凭れながら爪を弄るリサ。


まぁ分からんでもないが‥


「だからって‥これは。。」


リサ「じゃあ、逆に質問。

菜実は行きたい大学とかあるの?」


リサは凭れていたのにも関わらず


前のめりになり真っ直ぐな瞳で質問してくる。


そんなリサに動揺してしまい、つい視線を逸らし


自分の足元を見つめながら答える。


「無いけど‥」


私にはあるわけが無いんだ。


これは誰もが望んでる回答だ。


リサ「ほら〜。」


だけど、リサの考えや行動に


私はいつも引いてしまう。


「でもさ‥」


リサ「書けるわけないじゃーん。こんなの。」


当たり前でしょ?と言わんばかりな表情を見せたあと


リサは席を立ち進路希望調査を担任に提出しに行った。


そんなリサの後ろ姿を見て


〈いつか絶対後悔するだろうな。〉


そんな事を思う。


それはきっと私には無いものを


リサは持ってるから。


《思い切りの良さ》




これが自分にはないから__。