さらっと原稿に目を通す。
ん?
あれ、もう終わり?
驚くほど薄い原稿に最初のページと最後のページを行ったり来たり。
「16時からだから、30分前には行っていてくれ。
私はちょっと出かけてきます。あとはよろしく頼みましたよ」
「16時!?」
時計に目をやると、ちょうど15分前。
どう頑張ったって30分前には着かないじゃん!
「行ってきます!」
半分叫ぶようにしてゼミ室を飛び出した。
一度も足を止めることなく到着したのは広い講義室。
そこには既に多くの学生が集まっていた。だけど、女性の数が圧倒的に多い。
たしか、講話の内容はストーカー被害とか、痴漢被害なんだっけ。
だったら女性の方が関心があるのは当然なのかな。
いや、だけど、こういう講話にここまで人が集まるのも珍しいな。