「次は、あんたのことを教えてくれない?」

私の事、教えてもいいの…?
個人情報だよ?
絶対怪しいじゃん。

様子を窺うと、今か今かと待ちわびているような表情。

なんで、そんな楽しみに待ってるのよ、この人。
答えなかったらここから出してくれないのかな。
それは困るな…。

この監禁状態から抜け出すためには、嘘でも従うしかないみたい。

「藤田莉子です。
えっと、甘いものが好きで今日はカフェにタルトを食べに行ってました。
途中で邪魔されてしまいましたが。
あとは…」

「はい」

声と共に軽く手を挙げている。

ん?
いつから挙手制になったんだろう。
わかんないけど、とりあえず指名してみるしかない。