あー。 心地良い揺れだな。 それに、春の風みたいな優しくて爽やかな香りがする。 「使用人を呼びましょうか」 「いい。俺が運ぶ」 「かしこまりました」 身体がふわりと浮いた。 今の声。聞き覚えがある。 淳ちゃん? 違う。 淳ちゃんにしては声が低い。 じゃあ、誰…? 「楓馬様がこのようなことをなさるなんて、珍しいですね」 「使用人でも他の男に触れさせるなんて御免だからね」 楓馬…。 はっ!!!! 一気に電気が脳を流れて意識を覚醒させた。 酔いなんて瞬時にどこかへ行ってしまう。