「これでお互いの距離は一定に保たれる。もちろんあんたも逃げられない。
最初っからこうしてればよかった。
ほら」

彼が右手を引くと、私の左手が引っ張られる。
意図しなくても、簡単に触れる距離まで詰めてしまう。

「ちょっと…」

慌てて身を話すけど、遠ざかろうとしても彼がくっついてくる。

「近寄らないでって言ったでしょ!」

「無理だよ。簡単に外れないって知ってるでしょ」

ふざけてる。
こんなのって、ありえない。

「これでもっと色んな話ができる。
今日1日こうして過ごすっていうのも面白そうだ。
やっぱり最初の関係性って大事でしょ?
こうして距離を詰めることから始めるにはいいかもしれない」

いまさら関係性もあったものじゃない。