叩けば叩くほど手錠が手首に食い込む。
でも、これくらいの痛みならなんとか耐えられる。
肝心なのは、この手錠が壊れてくれるかどうか。

「だからそんな無茶なことするなよ。怪我するでしょ?
手貸して」

え…。なんだ、外してくれるんだ。
それにしても、冤罪って、こんな気分なんだ。
絶対に許しちゃいけないな。

まぁでも、これでひとまず自由になれる。

「はい、外れた」

いや、まだ左手には手錠がかかったまま。

「こっちは?」

「あー、それはまだ外せない」

なんで片一方だけなのよ!

しかも、彼は外した手錠を自分の手首に嵌め、そして、窓から鍵を捨てた。

「あ!!」

自由になった手を思わず伸ばしたけど、鍵はもう見えなかった。
3階から投げ落とされた小さな鍵は、庭のどこかに消えてしまった。