「…」

そこに私の携帯が鳴った。
突然の邪魔者に、一瞬楓馬君の力が弱まった。

がっかりなんてしてない。
するはずがない。

なんで私、目を閉じたのよ。
絶対に、期待なんてしてないんだから!

視線を捉えられて、体温が急激に上昇する。

「ち、違いますから!
今のは、逃げられなかっただけで、本当は心の底から拒否してたんですからね!」

一気に腕を引き抜いて、クッションを掴んでがむしゃらに投げつけた。何度も何度も。
ソファーの上からクッションが無くなるまで。