「それくらいで部屋にあがっちゃダメでしょ。
他の男だったら食われてるよ?」

「そんな人ばっかりじゃないと思いますけど」

「男をわかってないな」

ギシっとソファーのスプリングの音が妙に近くに聞こえた。
それもそのはず。
手首をつかまれて押し倒されているんだから。

「前から思ってたけど、あんた、華奢な体してるよね。
ちょっと力入れたら折れそう。気を付けないと」

そんな、艶っぽく撫でないでよ。

前髪の隙間から覗いた瞳に、思わず顔を背けた。

やばい。
こういうことに免疫ないんだから、目の前で大量の色気を振りまかれたら卒倒しそう。

「こんな細い腕じゃ、抵抗しようと思ったってできないでしょ?
このまま、男がどういう生き物か教えてやろうか?」

ぐっと手首にかかる圧が強くなる。
本当に抵抗できない。

あ…。
キスされる。

縮まる距離に、思わず目を閉じた。