「自由でわがままでやりたい放題ですが、できる限り相手をしていただけないでしょうか。
きっとそれが、楓馬様の一番の願いです」

そんな、最後に向けた言葉なんて聞きたくないよ。
信じたくない。

「…私にできることなら、何でも」

でも…。
私にできることなんてあるのかな。
料理もまともにできないし、医療の知識なんてものもない。

それに、今すぐ態度を変えるのも、きっと怪しまれる。
彼が明るく振る舞ってるのに、私がそれを壊す訳にはいかない。
ってことは、結局今まで通りにってこと?

…わかんないよ。
あんまり考えたくないのは、彼がいなくなってしまうことを受け入れられないからなんだろうか。

先ほどまでの晴れやかな気持ちとは真逆なほどに、暗くてどんよりと落ち込んだ心持ちで歩き出す。
地面しか見ることができない。
…前を向いて歩けないよ。

はぁ。