あの…。
この状況を楽しんでませんか?

「なんだか取り調べしてるみたいだね。
密室に2人きり。
ここでは何してもバレそうにない。
そろそろ言う気になった?」

「だから言いませんって。これ外してください。そして帰してください。
わざわざこんなことする意味がわからない」

「意味ね…。じゃあ、逮捕ってことで。
それなら手錠の意味あるでしょ?」

もっと意味がわからないよ。

「何の容疑で逮捕なんですか!適当なこと言わないで!
拉致監禁よ!どうかしてるんじゃないの!?」

「はーい、俺の心を傷つけた現行犯で緊急逮捕」

「また適当なこと…!
不当よ!」

椅子から立ち上がって窓際に身を寄せる。
この人の近くにいたらきっと危ない。
いくら見た目が良くても、危ない人は存在する。

「それ以上近寄らないで!
大体、あなた誰なのよ!
ここに監禁して、身代金でも請求するつもり?
そんなことしたって無駄なんだから!」

混乱した頭で必死に抵抗する。
窓枠に手錠をぶつけてみたけど、やっぱり壊れない。じんと鈍い痛みが走るだけ。