「あんたの荷物はちゃんとこっちに届いてるよ」

だと思った。
強制的に私をあの屋敷に縛るつもりか。

「警察官のすることとは思えませんね」

「あんたの驚く顔が見たくて」

「怒ってるんですけどね」

「うん。それはそれであり」

話にならない。
頭が痛くなってくる。

「諦めが付いたみたいだね。
部屋に行こうか」

「…」

不本意。
それ以外のなんでもない。

「わー、無視とか良い度胸してる」

自分をしっかり持つんだ私。
この男に流されるな。

最低限の荷物を持って、タイミングを見計らって逃げる。それでいこう。
まだ望みが消えたわけじゃない。大丈夫。