そんなことを思い出していると、自然と力が入る。
潔癖症なほどに綺麗好きな血が疼きだす。
床を綺麗にしていくと、心まで綺麗になっていく。

とことん綺麗にして、誇り一つ落ちてない廊下にしたい。
視野が狭まっていき、センサーのように勝手に汚れを見つけていく。

「うわー!すっごい綺麗になってんじゃん!
筋がいいのね。
その調子で、次の部屋も行ってみよう!」

そんなに褒めてもらえるとは。
うん、悪くない。

…って。
つい気合を入れてしまった。
こんなんじゃいつまでたってもこの屋敷から出られないよ!

階段を上がり、次の部屋について行く。
え…、次はここ?

「楓馬様の部屋だから、勝手に物に触らないように気を付けて。
じゃ、まずは窓を全部開けて、空気の入れ替えからね」

「はー、い…」

恐る恐る中に入ると、誰もいないみたい。
よかった。もう出かけてるんだ。