彼女のこの強引さ。
きっとこの屋敷に染まってしまったんだろう。ここには人の話を聞かない人が多すぎるよ。

「まずは廊下をモップ掛けするの。はい、これ持って。
私は奥からかけていくから、あなたは手前からお願い。よろしくね」

「は、はい」

モップを押し付けられたら、もうやるしかない。
あーあ。上手く言ってたら、今頃屋敷の外を走ってたはずなのに。
何やってんだろ、私。

埃なんて落ちてないくらいすでに綺麗に磨かれている廊下。
とりあえず隅っこからモップをかけていく。

こんな広い廊下を掃除するなんて、高校生依頼かな。
なんかちょっと懐かしいかも。

クラスメイトは、いかに手を抜くかっていうのを探しながら掃除してた。
だけど、私は意外と嫌いじゃなかったんだよな。

一カ所磨きだすと、目につくく汚れが増えて、どんどん掃除をする範囲が広がっていく。
大掃除なんかになると、強迫的に磨いてたこともあった。