「それは、ぜひあなたに思い出していただきたいのです。
そうすれば、ここに連れて来られた理由もおわかりいただけると思いますよ。

楓馬様を問いただすよりも、莉子様の中にある記憶を呼び覚ました方が、よっぽど納得いく答えが得られると思います」

私が、知ってるの?
ここに連れて来られた理由を?

いや、知らないよ。
知らないはず。

うーん…。
頭がパンクしそう。
思い出すには手がかりが少なすぎる。

まぁ、いいや。
とにかく、明日になったら帰るんだ。
座ったままで「おやすみ」なんて悠長に言っているこの男が何と言おうと、私は家に帰るんだから。