楓馬君のお父さんだから、自由な人でお互いにぶつかり合うのかと思ったけど、そんなことはないみたい。
ちょっと意外かも。

だけど、これはこれでなんだか微笑ましい光景。

「ということは…、君が楓馬のお嫁さん?」

「え…?」

久しぶりですっかり忘れてた。
そんな話でここに連れて来られてるんだったっけ。
楓馬君に対して思うところがありながら、こんな大きな話を忘れる私もどうかと思うけど。

「藤田莉子です。
楓馬さんをはじめ、こちらのお屋敷の方にはいつもお世話になってます」

「楓馬のことをよろしくお願いします」

「いやー…、まぁ、はい。こちらこそ」

にこやかで、笑顔の素敵な男性だな。
通った鼻筋ときゅっと上がった口角が楓馬君と似てる。