「…嫌だ。

悪かったわよ!
ほら、謝ったんだから早くナイフどけなさよ!」

「古賀にそんなこと決める権利ないでしょ?」

そんな言葉で許す気になれるはずがない。

「なんでよ!
女の体に傷つけて!」

「莉子に同じことしたでしょ?」

「だから、もう二度としないってば!反省してるの!
彼女が望むなら直接謝罪だってする!
何だっていうこと聞くから!」

「ふーん。今の言葉、忘れないように」

ナイフを引っ込めた。
怒りがおさまった訳ではないけど、なんとなく、莉子の顔がよぎった。
直接謝るなんて言われたなんだろうか。

ただ単に、そろそろ会いたくなったからかもしれない。