待ちに待ったこの瞬間。
少し力を入れて手錠を掴むと、ようやく解除された。

「やっと自由だ」

それにしても、本物の手錠を針金で外してしまうなんて、この紳士は何者なの?

「はい、替わりにこれつけて」

「…替わり?」

彼が見せたのはブレスレット。

意図が全く掴めない。
これを付けたところでどうなるっていうのよ。

…怪しい。
白とオレンジの石が装飾されているブレスレットをじっと見る。

あ…。オレンジって…。
まさか、好きな色を聞いたのって、これのため?

「お詫びと言うか…、ちょっとつけてみてよ」

お詫びだって言うなら、受け取ってあげてもいいかな。
正直、かわいいって思っちゃったし。

たった今自由になったばかりの左手をとられ、ブレスレットを腕に通される。